わたしがあなたに望むこと、ひとつ
わたしには、本や映画の中で営まれる世界に心を動かすことはできるのに、
隣に座ってココアを飲むあなたの生きる世界を見ることすらできないのが本当にもどかしい。
わたしにも、あなたの世界を分けてほしいと思う。あなたにも、わたしの世界を届けてあげたいと思う。
繋いだ手から伝わっていけば良いのに。
でもそれじゃ、きっとだめなのだろう。伝える手段を探す過程で、ふたりの視点が重なる瞬間があるのだろう。だから、わざわざ遠回りをしなければいけないようにできているのだ。
あのね、
わたしはまだ経験も浅いし、未知なことの方が多くて、どちらかというと生きるのが下手なほうだけれど、それでも、知っていてほしい。
隣に座るあなたには、どうか見せてあげたいの。だってあなたは、この世の中の大勢のひとびとからわざわざわたしを選んで、隣に座ってくれたのだから。
信じる
作詞 谷川俊太郎
作曲 松下耕
笑うときには大口をあけて
おこるときには本気でおこる
自分にうそがつけない私
そんな私を私は信じる
信じることに理由はいらない
地雷をふんで足をなくした
子どもの写真目をそらさずに
黙って涙を流したあなた
そんなあなたを私は信じる
信じることでよみがえるいのち
葉末(はずえ)の露(つゆ)がきらめく朝に
何を見つめる子鹿のひとみ
すべてのものが日々新しい
そんな世界を私は信じる
信じることは生きるみなもと